ストップ!育ちの劣化!!
■深刻化する電子メディアの子どもへの影響
スマートフォン、タブレット、テレビゲーム、パソコン、DVD、テレビ…、電子メディアの氾濫の中で、日本の子どもたちの育ち(発達)は危機的状況に陥っています。
ここ数年の「スマホ・パンデミック」といわれるようなスマートフォンの爆発的な広がりは、小学生、中学生、高校生の電子メディア接触の長時間化を急激に加速しました。子どもたちは、学校での年間総授業時間数の2倍を超える時間をゲームやネットそしてテレビに費やしています。学童期の遊びや生活体験の時間は電子メディアに奪われ、からだの諸能力や社会性の発達に深刻な歪みや遅れを生んでいます。子どもの「育ちの劣化」です。
電子メディアへの長時間接触で子どもたちの脳にも不可逆的なダメージが発生すること、深夜までのゲームやネットが生活リズムを大きく乱し学校教育に支障が出ていることなど、子どもたちの「学び」にも負の影響が明らかになっています。そして、スマホの爆発的普及はわが国の乳幼児の育ちにも危機的な状況をもたらしています。
乳幼児を持つ親のスマホ所有率が94%になり、スマホアプリやタブレットを使った子育てが増え、一方で子どもを見つめ、抱きしめ、語りかけるといった本来あるべき子育ての姿は劇的に減少しています。その結果、親子の愛着形成、他者との関わりなどの心や言葉の発達に重大な歪みや遅れが心配されています。さらにそうした乳幼児期からの“メディア漬け”は立体視力を含む視力、二足歩行を支える足、自分のからだを自由に操作する筋肉や感覚など、からだの諸機能の発達にも深刻な歪みと遅れを現出させています。日本国民の「育ちの劣化」が乳幼児期から始まっているのです。
■今、危機感を共有する人が手をつなぐとき
1999年に子どもとメディア研究会が発足して以来、私たちは、子どもと電子メディアとのより良い関係を模索し子どもたちの“メディア漬け”の危険可能性を指摘する調査研究や啓発活動を続けてきました。しかし、ここ数年のメディア環境の激変は、子どもたちはもちろん子育て中の親たちまで濁流のように呑み込み、国(社会)の未来に強い危機感を抱かざるをえない状況になっています。
そこで私たちは、こうした状況を座視することなく、思いを同じくする方々と共に子どもたちの「育ちの劣化」を防ぐ強力なキャンペーンを展開し、全国的な動きを作り上げていくことを決意し「子どもとメディア全国ネットワーク」というゆるやかな連絡組織を立ち上げることとします。現在の子どもたちの育ちの状況に危機感を持つ個人やグループが手をつなぎ、情報交換、啓発のための研修、そして各界への提言に取り組もうというわけです。
時を同じくして、日本小児科医会、日本医師会も2017年1月から「遊びは子どもの主食です」、「スマホの時間わたしは何を失うか」という2種類の啓発ポスターを全国の会員に配り“メディア漬け”に警鐘を鳴らす活動を始めました。私たちは、こうした医師たちとも連携しながら、保育界・教育界・自治体・企業などに働きかけ、日本の子どもたちの「育ちの劣化」を食い止め健全な発達が保障される状況を創り出す努力を続けたいと思います。
■ひとりでも多くの方々のネットワークへの参加を心から期待しています。
2017年6月18日
子どもとメディア全国ネットワーク 呼びかけ発起人
NPO法人子どもとメディア
子どもとメディア北海道
子どもとメディア関東
子どもとメディアみやざき